某県・某所に地元でも有名な「虹の大橋」という橋がある。
その橋は、山道と山道の間、2つの山を繋ぐように掛かっている。はるか橋下には人造湖が広がり、距離にして200mくらいの橋であろうか…
まるで大蛇が山を這っているような山道を抜けると見える、まっすぐで車道幅もそれなりに広い、2車線の橋である。
この橋、今でこそ「虹の大橋」の名前をイメージさせるような、奇麗なガードがついた橋になってはいるが、十数年前、まだ人造湖の開発が途上の時には、人がよじ登れば簡単に越える事ができるようなガードしかついていなかった。
そして、当時のこの橋を、車で渡ろうとする誰もが不自然な光景を目にしていた。
目の前にまっすぐと伸びていく橋。とても見通しのよいその橋の車道脇には、
おびただしい数の花束が、あちこちに供えられているのである。
そう…このまっすぐな大橋は、何故か事故の多発地帯だったのだ…。
やがて、この不吉な大橋について、地元ドライバーの間である噂が流れ始める。
「黒いスカイラインに気をつけろ…」と。
----------
某日、地元でも有名な「走り屋」のA氏とB氏は、その噂を聞きつけ、興味本位で噂の真相を確かめにいこうという話になった。
深夜2時。二人はA氏の愛車に乗り込み、山道を蛇行しながら、目的の大橋へと向かう。
----------
A氏「なぁ…実際のところどうだと思う?」
B氏「どうだろな~。でも実際、出たほうがおもしろくねぇ?」
A氏「まぁな~。ぶっちぎっちまえばいいよなぁ(笑)」
----------
そうこうしているうちに、大橋の入り口にさしかかる。当時、橋を照らすライトも完全には設備されておらず、昼間とは違う、まるで漆黒の闇へ続いているような、不吉な感に二人は襲われたという。
----------
A氏「さてと…着いたぜ。んじゃ、いってみるか」
B氏「おう、とりあえず、ゆっくりいってみっか」
----------
二人を乗せた車は、速度を若干落とし、大橋を渡り始める。ヘッドライトに映し出される車道脇の花束達が、不気味に現れては消えていく。
----------
A氏「なんか、この花束見てるだけでも不気味」
B氏「…て言うか、もう橋終わっちまうぞ?(笑)」
----------
車は橋を渡り終えてしまった。
----------
A氏「おわっちまったなぁ。結局、でなかったじゃん!」
B氏「まあ、そんなもんだろ。さっさと折り返して帰ろうぜぇ(笑)」
A氏「そうだな、んじゃ、この先で折り返すか。」
B氏「あ、でも、折り返しできるところだいぶ先だな~」
A氏「まあ、適当に攻めて折り返してこようぜ」
----------
結局、二人を乗せた車は、橋を渡りきった側の狭い山道を、だいぶ下ったところで折り返さなければならなかった。
暫く走っていると、やっと車がUターンできるような広さの所へでる。車はそこで折り返し、今、下りてきた山道をまた登り始めた。山道を走り始めて数分…
!!
助手席に乗っていたB氏が、急に叫んだ。
----------
B氏「おい!後ろみろ!黒い車が走ってくる!!!」
A氏「え?!スカイラインだ!!!あれか?!」
----------
二人は、氷のような恐怖に捕らわれた。真っ黒なスカイラインがいつの間にか自分たちの車の後ろを走ってくるのだ。スカイラインはグングンとスピードを上げ、すぐに二人の車に追いついた。そして、ぴったりと二人の車の後ろにつき、スピードを上げて振り切ろうとしても全く振り切れない。
----------
B氏「このやろう!煽ってやがる!!」
A氏「運転席みえるか?!乗ってるやつの顔!!」
B氏「ライトがまぶしくてわからねぇ!でも、二人乗ってるぞ!!」
----------
スカイラインは車間をぴったりとくっつけ、ひたすらついてくる。二人はなんとか振り切ろうと、恐怖と無意識のうちにスピードをどんどん上げていた。
やがて、再び大橋にさしかかる。
----------
A氏「ここで振り切ってやる!!」
----------
スピードを更に上げる二人の車。
しかし、黒いスカイラインは、反対車線から追い越しをかけるように二人の車の横に並ぶと、ぴたりと離れない。そして、スカイラインの助手席側の窓が下がる…
----------
A氏「!!」
B氏「うわあああああああ!!首がねぇ!!!!」
----------
窓の開いたそこから奥に見えたのは、首の無い運転手。そして助手席には、運転手の首を大事そうに抱え、こちらを睨みつけている女だった。
次の瞬間…
ガン!!
女は凄まじい形相で、持っていた首を二人の車に投げつけてきた。
----------
A氏「うわあああああああああ!!」
B氏「あぶねぇえええええええ!!」
----------
首は大きな音をたてて、運転席側のドアにぶち当たる。投げつけられた首を、反射的によけようとハンドルを切ったとき、二人の目前にはガードレール。助手席側の側面を、けたたましい音とともに激しくガードレールにこすりつけながら、車はなんとか止まった…
どれくらいの時間がたっただろうか。二人は恐怖と焦りで汗びっしょりのまま、動けずにいた。
----------
A氏「…生きてるか?…」
B氏「なんだよ…今の…まじかよ…シャレになんねぇよ…」
----------
二人が正気を取り戻したとき、そこに黒いスカイラインの姿はなかった。幻だったのだろうか。いや、確かに見た。あの黒いボディ…首の無い運転手…般若のような形相で首を投げつけてきた女…
二人が、落ち着きを取り戻し、車を降りて見た恐るべき光景…
深くへこんだ運転席側のドア、そこには人間の顔の形をした血のりがベットリとついていたという…